大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ラ)234号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實と判斷)相手方は抗告人が共栄商運株式会社の相手方に対する売買代金債務について連帯保証をなしたものとして右連帯保証債務の履行請求権の執行を保全するため、抗告人の共栄商運株式会社に対する貸金債権について仮差押の申請をなし、裁判所は相手方に金二十万円の担保を供託せしめて右債権の仮差押決定をなしたところ、その後相手方は公正証書の執行力ある正本に基き、抗告人の第三債務者に対する右貸金債権につき差押及び転付命令を得、さきに仮差押につき供託した担保につき取消の申立をなし、裁判所はこれに応じて右担保は担保の事由やみたるものとしてこれを取消す旨の決定をなした。抗告人はこれを不服として本件抗告に及んだ。

抗告審は原決定を取消し相手方の担保取消決定の申請を却下すべきものとして次のとおり決定した。

「仮差押につき供託した担保は、違法な仮差押によつて債務者に生ずる損害賠償債権の担保であつて、その担保の事由やみたるときというのは右損害賠償債権の絶対的不存在即ち右損害賠償債権が発生せず且つ将においても発生すべき可能性がなくなつた場合を指称するものと解すべきである。しかして、仮差押が本執行に移行するときは、(本執行が終了したときはなおさらのこと)仮差押はその目的の到達により将に向つてその効力を失うが故に、将においては右損害賠償債権の発生は不能となること勿論であるが、既往における即ち本執行に移行するまでの間における右損害賠償債権発生の可能性を否定し得るものではない。(記録によれば抗告人は相手方を被告として公正証書無効保証債務不存在確認及び損害賠償請求の訴訟を提起し現にけい属中である。)しかも仮差押は被保全債権と保全の必要あるときに限りこれをなし得るもので、若しこれらの要件が一つでも欠けるときは、その仮差押は違法であつて、たとえ後日本執行に移つても保全の必要が欠けているという違法性まで阻却されるものではない。そうであるから右損害賠償債権の担保は仮差押が本執行に移つたという事実のみによつては担保の事由やみたるものとして、その取消が許さるべきものでないといわなければならない。」

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